道の駅うえの スペシャルコンテンツ03

01 林業

時代が移りゆく中で、
さまざまな試行錯誤を重ねてきた
上野村の林業。
人材も環境も大切にする取り組みが
村を支えています。

豊富な資源を最大限に活かすための挑戦が身を結ぶ豊富な資源を最大限に活かすための挑戦が身を結ぶ

  1. 01雇用を生み出す
    上野村の主力産業

    上野村の林業は、戦後復興期には木材が高額で売れ経済的に潤ったものの、やがて海外から安価な木材が輸入されるようになり、徐々に衰退していくことに……。村の人口減少も進み、厳しい状況が続きました。

    転機が訪れたのは、平成に入ってから。村の活性化のため、村役場や森林組合、民間事業者が一体となり、林業でお金を生み出す仕組みを考えるようになりました。そして今、さまざまな挑戦が、少しずつ実を結び始めています。

    上野村の森林の特徴は「急峻」であること。傾斜が険しく、木を整備する作業も非常に大変です。さらに、半分以上がケヤキなどの広葉樹。春の新緑や秋の紅葉はとても美しいのですが、枝が太く幹も曲がっていることが多いため、機械での伐採が難しく、チェーンソーなどの手作業が必要になり、手間がかかってしまうのです。

    ただ、これらの作業に人の手が必要なことが、雇用につながっている側面もあります。これまでに多くの移住者を受け入れており、「上野村で暮らしたい」と考えるIターン者たちが林業の現場で活躍しています。

    ※2021年3月時点

  2. 02切った木を無駄にしない
    環境保全への取り組み

    森林を育てるには、曲がっているものや育ちの悪いものを間引いていく「間伐」という作業が必要です。そうすることで、健康な木がたくさん太陽を浴び、より元気に育つのです。

    以前は、間伐で伐った木はそのまま森に捨てていました。それを用材や資源にして少しでも所有者に利益を還元しようと始めたのが、「森林資源の循環利用」の仕組みです。間伐材を「ペレット」と呼ばれる燃料に変え、村内の温泉施設や一般家庭のエネルギー源として利用しているほか、平成27年には木質ペレットを燃料とするバイオマス発電施設も開設されました。

    もともと経済的な目的が大きかったこの取り組みですが、SDGs(持続可能な開発目標)など環境保全への機運の高まりにより、CO2排出量を削減する施策としても、近年、多くの注目を浴びるようになりました。山もキレイになり、林業が経済的に潤えば、さらなる雇用を生み出すことができます。森にも、森の所有者にも、地球環境にもやさしい取り組みなのです。

    ※2021年3月時点

「クールな林業」で若い人を呼び込みたい「クールな林業」で若い人を呼び込みたい

佐藤さん

私が村役場で林業を担当するようになったのは平成21年。森林組合や森の管理をする民間事業者と連携しながら、バイオマス発電をはじめ、さまざまな取り組みを進めてきました。

今後力を入れたいのは、再生可能エネルギーなど地球環境への取り組みも引き続き強化しながら、「災害に強い林業」を考えることです。令和元年の台風19号のときも、林道が大きな被害を受けました。豪雨などの自然災害が増えているなかで、水が森の中をどのように流れ溜まっていくのかなどを意識しながら、林業を営む必要があると思っています。

それと、若い人が林業をカッコいいと思えるような、「クールな林業」にしていきたいですね。作業着をカッコよくしたり、労働環境を改善したりするなかで、林業に携わりたいと思う若者たちが増えてほしいなと考えています。

変えたい部分がある一方で、この村で古くから培ってきた林業のさまざまな技術も大切にしたいです。時代によって作業方法は変わっていきますが、環境を守るために、昔の方法が見直されている面もあるんです。だから、古くからの技術や知識を若い人たちに引き継ぐような場もつくっていけたらと思っています。

※2021年3月時点

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「ありがとう」が仕事のやりがい「ありがとう」が仕事のやりがい

藤田さん

私は平成12年に森林組合に入りました。いま、40人ほどの職員がいますが、そのうちIターン者が約6割。20~30代の若者も増えています。Iターンの人がいないと仕事が回らない、というのが現状です。最近は待遇面など労働環境が良くなったこともあり、以前に比べて離職率も減って、人が定着しています。

仕事は生活の一部です。仕事の楽しさだけでなく、村の暮らしそのものが楽しくて、定住する人が増えているのだろうと思います。村の人と触れ合い、仕事以外のコミュニティを持ち、暮らしを楽しむこともとても大事だと感じています。

森林組合の仕事は、森の所有者の方から委託を受けて、森を管理することです。バイオマス燃料の取り組みにより、利益を還元できるようになりました。「ありがとう」と言ってもらえることが、私の一番のやりがいになっています。

令和3年度には乾燥機を導入する予定です。これまでは製材加工のみで未乾燥(半製品)のまま出荷するしかなかったのですが、木材を製材して乾燥できれば、製品として出荷できるようになり、販路が広がります。上野村の林業を少しでも盛り上げるために新しい挑戦を続けながら、ここで働くみんなが気持ちよく働ける環境づくりにも力を入れていきたいと思います。

※2021年3月時点

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02 木工業

豊富な資源を有効活用するため、
以前から村をあげて
木工作家の育成にも取り組んできた上野村。
森林組合の木工課で木工品を製作するほか、
個人で工房を持ち、作品を作っている
木工作家も数多くいます。

世界にひとつだけ。一期一会の木工品の魅力世界にひとつだけ。一期一会の木工品の魅力

大野 修志さん

模様や色、一つひとつの
違いが味になる

田舎暮らしに憧れて、32年ほど前に上野村に移住。約2年間、森林組合に勤務し木工の技術を見よう見まねで覚え、その後「木まま工房」を設立しました。

工房では、子ども用の椅子やおもちゃなどの家具を中心に木工商品を作っています。定番商品は、背もたれが動物の形になっている「アニマルチェアー」。キリンやゾウなど、少しずつ種類も増やしてきました。子どもが見ても動物の輪郭が分かるようなデザインを心がけて作っています。製造には電動の機械を使いますが、最終的な角の丸みを出すのは手仕事。機械を使いながらも、手の感覚で形を作っていくのです。最初は大変でしたが、30年近く続けていくなかで、感覚をつかめるようになっていきました。

木工品は、色や模様などの視覚、木の香りの嗅覚、触ったときの硬い、柔らかいといった触覚、叩いたときの音の聴覚など、さまざまな感覚と感情を与えてくれます。同じデザインでも、木目や色、模様、大きさなど一つひとつ微妙に違います。いまは大量に同じコピー商品ができる時代ですが、この違いが手作りの木工品の魅力なのかなと思っています。

物を大切にする心を木が教えてくれる

贈り物として選ばれることも多く、最近はコロナ禍でなかなか会えないお孫さんにプレゼントしたいという祖父母の方からご依頼をいただきました。お孫さんがアニマルチェアーを大変気に入ってくれて、喜んでいる姿の写真を送ってくださったんです。自分が作った商品を喜んでいただいて、さらに人と人とが会いづらい時代に、つながりを作るお手伝いができたことを非常にうれしく思います。

子ども用の商品なので、遊んでいる間に壊れてしまうこともあります。その場合は、無料で修理を承っています。「大事にしていたおもちゃを壊してしまった」と、お子さんが泣きながら直るかどうか気にしている場合もあるんですね。直して返送すると、とても喜んでいただけます。木の商品を通して、物を大事にする心も育つといいなと思っています。

若い世代へつなぎたい

大きな木ばかりを使ってきた時代があり、いま日本には大きな材木が少なくなっています。これらの木が再生されるまでは、今まで使ってこなかったような種類の木や、枝などもどんどん使ってみて、新しい商品を開発しながら、自然を守っていきたいと思っています。

上野村の木工作家も高齢化しており、後継者不足は課題になっています。30年続けてきた中で、木まま工房のファンになってくださった方もいます。自分の経験や技術を伝承しながら、若い世代が上野村の木工産業を盛り上げていってくれればと願っています。

※2021年3月時点

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※2021年3月執筆

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